元公務員のTAC講師によるコラム 元外交官が解説②

◎講師紹介
横生 健(よこお けん) 講師

元官僚。外交官として、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ他で活躍。外務、防衛の他、経済産業省、国際機関、地方自治体などの職務を経験。
現在はTAC・Wセミナーの国家総合職、外務専門職講座で面接、官庁訪問対策を中心に講師として活躍中。

志をもって外務省の試験を受け、努力が実って合格した人はどのような経歴を辿っていくのでしょうか? 今回は、入省後の活動の流れをご紹介いたします。

研修

 入省後、一人前の外交官になるために、研修の過程を辿ります。研修所での研修、本省での実務を通じた研修、海外での研修などです。外交官に求められるものは多く、研修は極めて充実していると言えます。

 例えば、入省一年目は外務本省で実務に就きながら多くのことを学んでいきます。補佐的な仕事も多いでしょうが、配属先により、まとまった案件を任されることもあります。

一例として、一年生ですぐに国際条約の批准手続きを任されました。条文を読み込み、制定過程を辿りながら、各条の意味を解釈していきます。原文は外国語なので、条約解釈に忠実に日本語の正文を決めていくのです。

国内各方面に説明を行い、根回しをした後に、国会の議決を得てめでたく承認となります。先輩、同僚の指導を受けながら、担当官としてやり遂げたときは万歳三唱です。

 皆さんが入省後に、どんな仕事を任されるか楽しみです。周りでは先輩方が真剣に外交実務に取り組んでいます。背中を見ながら貪欲に技を学ぶ時期でもあります。

一見末端の仕事に見えても、一つ一つが重要です。何か調べるように指示されるとしましょう。あなたが調べた情報が、大臣まで報告されることもあります。手を抜くことはできません。

 海外研修では、海外の一流大学などに通いながら、指定された言語で専攻分野を学びます。24時間フルに使って自己の能力を高める絶好の機会です。

主要大学には、その国の将来の指導者もいるでしょう。後の大統領と同級生ということも有り得ます。これが外務省は調整官庁とも言われる所以です。常に日本全体を考える醍醐味があります。バランス感覚が求められます。

■写真
<出典>外務省HP
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/gaikokan/kenshu.html

若手の担当官

研修期間を経た後は、若手の担当官として、外務本省または在外公館で本格的に外交の職務につきます。多くの先輩方の指導を受けながら、引き続き勉強の連続です。

といっても、もう後輩の新人省員があなたの部下につくかもしれません。先輩として指導が必要です。若手は一人前の担当官として仕事を開始します。

①本省での職務

 東京の霞が関にある外務本省は、日本外交の責任官庁としての機能を果たしています。世界の情報を収集分析する、日本の外交方針を策定する、日本政府の外交政策を実施するために在外公館を統括する司令塔になります。

外交は内政と切り離すことはできません。国益のため、国内各方面の利害を調整しながら、外国との交渉に臨みます。外務省は、外交を推進するために国内調整の要として機能します。調整官庁を担う職員には、国益意識とバランス感覚が求められます。

 外務省の組織には「機能局」と「地域局」があります。機能局は、事項別分野に関わる局課(経済、国際協力、国際法、領事など)をいいます。地域局は、地域別担当(アジア大洋州、北米、中南米、欧州、中東アフリ)の局課を指します。それらが連携して外交を進めるわけです。

 外交政策の実施に関わる場面も多々あります。出張して相手国政府や国際会議での交渉を行うのが典型ですが、相手が出張してくることもあります。なお、日本には各国の大使館がありますので、在京の大使や館員との協議・連絡も行っています。

■外務省組織図
<出典>外務省HP
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/index.html

②在外公館での勤務

 外交実務の最前線は何といっても在外公館でしょう。在外研修後に在外公館に配属された際に実感します。

在外公館には、大使館、総領事館、政府代表部などがあります。大使館は,基本的に各国の首都におかれ、その国に対し日本を代表します。相手国政府との交渉や連絡、情報の収集・分析、対日理解を促進する広報文化活動、邦人保護などが任務です。

総領事館は、世界の主要都市に置かれ、その地方の在留邦人の保護、通商問題の処理、情報の収集、広報文化活動などを行っています。政府代表部は,国際機関に対して日本政府を代表する機関です。

 大規模な大使館であれば、総務、政務、経済、広報文化、領事などの班の一員になります。小規模な大使館では、あなたが単独で政務担当官ということもあるでしょう。
責任は重大です。これまでの研修の成果を生かしながら、あなた自身の力を発揮する機会が来たわけです。

 職務は、総務、政務、開発協力、経済、企業支援、広報・報道・文化、領事、官房など多岐にわたります。本省に比べて少人数で対応することが多いので、任される範囲は広くなり責任も重くなります。遣り甲斐を感じる場面が多々あります。相手国の大統領、大臣を含め要人と顔を合わせることも多く、自分の仕事の重さを感じます。

■写真
<出典>外務省HP
https://www.mofa.go.jp/mofaj/p_pd/ca_opr/page23_003109.html

中堅職員から幹部へ

 これらの経験を積み重ねて専門性を高めながら、中堅職員、幹部職員へと進んでいきます。
本人の能力と意向によっては、専門職から総合職に登用されるケースもあります。専門性を磨きながらも総合的な能力を認定されて、自分でも発展させる場合です。

外務専門職で入省して、志があれば特命全権大使・総領事という公館長になる道も開かれています。現に、同期入省の専門職の中で館長になった人が複数います。

 外務省は研修制度が充実していて、外交に必要な基本をみっちり学びます。その後は、実務を通じて、一人前の外交官になるまで育て上げられます。自己を磨いて発展したい方には、願ってもない職場であると思います。多くの志ある方が、外務省に入って活躍されることを心待ちにしております。

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