公務員試験は独学でも合格できる? 合格のための勉強法のポイントを解説
公務員試験は試験科目が多いこともあって、独学での勉強に不安を感じる方は多くいらっしゃるでしょう。
本記事は「本当に独学で大丈夫なのか」「予備校などに通った方がよいのではないか」と悩んでいる方に向けて、独学のメリットとデメリット、試験合格までの流れなどを解説します。独学のよいところも悪いところも理解したうえで、自分に合っている学習方法を検討してください。
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公務員試験の概要
公務員試験には、国家公務員試験や地方公務員試験、社会人を対象とした民間経験者採用採用試験や就職氷河期世代対象試験など様々な種類があります。
それぞれ異なる問題が出題されるため、どのような試験を受けるかによって難易度や合格率が大きく変わるのが特徴です。ただし、一般的には院卒者程度の能力が必要な総合職試験(国家公務員試験)がもっとも難易度が高くなります。
筆記試験
基本的に、公務員試験は一次試験で筆記試験が課せられることが多くなっています。一次試験に合格したら、次に面接や論文などを採用した二次試験を受け、それらに合格することで、晴れて「公務員」となることができます。
筆記試験には、高校までに学ぶ科目(英国数理社)が中心に出題される「教養科目」と大学の専門課程で学ぶ知識が問われる「専門科目」があります。
教養科目
教養科目としては「教養択一(基礎能力)試験」と「教養論文試験」が該当します。前者では前述したような、筆記試験がおこなわれます。
そして後者の試験では、社会・経済問題等に関する問題が多く出題されます。このような課題に対して、自分の考えを論述することが求められます。
試験時間は60~80分程度。論述の文字数は800~1,200字程度とされています。客観的な事実に基づいた考えを述べることが、合否を分けるポイントとなっています。
専門科目
公務員試験には「専門試験」と呼ばれる試験もあります。これには「専門択一試験」と「専門記述試験」があり、全ての職種で課される試験ではありません。
専門記述試験が課される職種は、主に国家総合職や外務省専門職、東京都I類B(一般方式)、裁判所一般職、国税専門官、財務専門官などです。教養論文とは異なり、より専門的な知識を問われる試験であるため、しっかりと対策する必要があります。
公務員試験の勉強を独学でするメリット
公務員試験に独学で合格することは可能なのかという問いについてですが、結論からいえば「可能」です。受験資格には、特定の機関で学習するなどの要項はなく、試験にさえ合格できれば公務員になることができます。
では独学で公務員試験の合格を目指す場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下で解説していきます。
金銭的コストを抑えられる
独学で公務員試験の対策をするメリットとして、まず挙げられるのは「金銭的コストを抑えられる」ということです。
予備校などに入学する場合は、当然ながら入学金や受講料などが発生します。その点、独学であれば、参考書などを揃えるだけで勉強に取り組めるため、費用は格段に安くなります。
また細かなところで言えば、予備校へ通う際の「交通費」も節約できることになります。
自分のペースで学習できる
独学は、自身のペースで学習を進めることができるといったメリットもあります。不得意な分野には時間をかけ、得意科目はスピーディーに学習するといったことも可能です。
また学習のペース配分だけでなく、勉強時間も自由です。「深夜に勉強したい」「空いた時間でちょこちょこ勉強したい」などのケースでも、自由に学習できるでしょう。
公務員試験の勉強を独学でするデメリット
独学で公務員試験の合格を目指すことには「コストを抑えられる」「自分のペースで勉強できる」といったメリットがあります。しかしこのようなメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。
独学で対策を進める場合、以下で解説するようなデメリットをどれだけ緩和できるかという点も合否を分ける要因となるので、よく確認しておきましょう。
試験の情報収集やサポートを受けられない
まず独学の場合は、試験に関する情報が入りにくいといったデメリットがあります。公務員試験に限らず、あらゆる資格試験は時代に合わせて、出題傾向などが変更されることが多々あります。
このような場合、予備校に通っていれば試験の情報がいち早く伝わり、早期に対応できます。しかし独学の場合はそうはいきません。自ら情報を入手できるよう働きかけなくてはならず、情報収集の時間が勉強時間を削ってしまう可能性もあります。
モチベーションの維持が難しい
モチベーションを保ちにくいことも、独学のデメリットといえます。
予備校に通うことで、勉強仲間ができたり、ライバルができたりしますが、独学では完全にひとりで試験対策をしなければなりません。勉強の悩みを相談する相手がいないことは、モチベーションを下げる大きな要因となります。一人で黙々と勉強することに「孤独」を感じる方は、独学には向いていないかもしれません。
面接試験や論文試験の対策が難しい
公務員試験は筆記試験だけでなく、面接や論文試験などもあります。このような試験は個人で対策することが難しく、自身の対策方法が、正解か不正解かもわかりにくいでしょう。
また面接試験のように実践経験を通して、口頭での回答に「慣れる」ことが重要な試験においても、独学はやや不利だと言わざるを得ません。
公務員試験の勉強を独学でする際の流れ
いくつかのデメリットがありつつも、先ほど述べたように公務員試験を独学でクリアすることは、不可能ではありません。
ここからは、実際に独学で試験対策をする「流れ」について解説していきます。やみくもに勉強を始めるのではなく、しっかりと計画を立てて学習することで、独学であってもある程度効率よく試験対策を進めることができます。
1.受験する試験種を決める
公務員試験を受けようと決めたら、まずは受験する「試験種」を検討します。公務員試験にはいくつの種類があり、どんな職業を目指すのかで受ける試験が異なります。
そして試験種を決めたら、次に試験全体のスケジュールや出題される科目に関する情報を集めます。勉強をスタートする前に、以下のような情報はきちんと収集しておきましょう。
- 受験候補となる試験または、自治体を調べる
- 試験の日程
- 合格までの流れ
- 過去問を繰り返し解く
- 出題される科目(専門科目の有無)く
- 出題傾向
2.具体的な勉強プランを立てる
1で収集した内容をもとに、今度は具体的な学習計画を立てます。出題範囲を全て学習するためには、それなりの勉強時間が必要となります。試験日から逆算して、いつまでにどこまでの対策をすべきか考えましょう。
一般的に、公務員試験の合格に必要な勉強時間は「1000時間以上」とされています。これだけの学習時間をどのように捻出するのかも、しっかりと考えておきましょう。
3.優先順位をつけて勉強する
公務員試験における「筆記試験」は、出題範囲が非常に広いことでも知られています。全ての範囲を完璧にするには、かなりの時間を要するため、学習するものに「優先順位」をつけるのがコツです。
教養試験では「数的処理」「文章理解」、専門試験では「民法」「行政法」「憲法」「経済学(ミクロ・マクロ)」の出題数が多いため、優先的に学習しておきましょう。
4.各試験科目の頻出分野を知る
各試験科目の頻出分野も把握しておきましょう。一般的な試験対策では、参考書をひと通りこなし、過去問で問題に慣れておくといった流れになります。しかし出題範囲が広い公務員試験では、初めに過去問に目を通して、頻出する分野を分析しておく方法が有効です。
あらかじめ要点を絞って学習することで、より効率的に得点を狙えるようになるでしょう。
5.試験対策に特化した参考書を選ぶ
独学で公務員試験の合格を目指す場合、参考書選びも非常に重要です。その際に重視すべきなのは「試験対策に特化している」ことです。より実践的な問題が多く掲載されている参考書を選ぶと良いでしょう。
一問一答など幅広い知識をサッと確認できる参考書も、合わせて持っておきたいところです。もちろん、自分にとってわかりやすいかどうかも、事前に確認しましょう。
6.過去問を繰り返し解く
ある程度インプットが完了したら、残りの期間はアウトプットに使いましょう。過去問を繰り返し解いて、自身の苦手分野を知り、克服するといった方法が効率的です。
また過去問を解くことで、出題者が「ここを押さえておいて欲しい」と考えているポイントを分析することもできます。もちろんインプットをする前に過去問を確認して、要点を絞るというのもおすすめです。
自分に合った学習方法で公務員試験に合格しよう!
独学で公務員試験をクリアするための対策について解説しました。独学で試験対策をすることには「経済的コストを抑えられる」「自分のペースで学習できる」といったメリットがあります。
しかしその反面で、周囲からのサポートを受けられない、モチベーションを維持しにくい、面接・論文試験の対策が難しいといったデメリットもあります。
メリットとデメリット、どちらも確認したうえで自分に合った対策方法を検討してみてください。