宅建士と建築士のダブルライセンスのメリットを解説
宅建士は、 売買や賃貸といった不動産流通を円滑に行うための資格です。
対して建築士は、その取引の本体である建物の設計をするための資格です。
多くの大手不動産系企業は、「作って」「流通する」という双方をビジネスにしていますので、まさに、「宅建士」と「建築士」が核となります。
今回は、この相性の良い2つの資格を保有することで生まれるメリットなどを解説します。
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宅建士と建築士を保有する4つのメリット
宅建士と建築士のダブルライセンスは、業務範囲が大きく広がり、クライアントからの信頼度も増すでしょう。就職・転職活動も有利になりますし、収入UPも見込めます。将来、独立開業したときも優位性を築くことができるでしょう。
1.業務範囲の拡大
建築士は、建築のプロであり、宅建士は、不動産関連の法律のプロです。
専門とする分野が違うため、ダブルライセンスを保有することで、業務範囲が拡大します。
例えば、建築士として建物の設計をしたのち、宅建士として売買や賃貸契約、不動産に関する重要事項の説明等を行うことができます。
このように業務範囲が広がるため、より多くの顧客のニーズに応えることができます。ひいてはそれが独立開業した時の助けにもなるでしょう。
2.就職・転職活動で有利
複数の専門業務をひとりで担当できるため、建設業界や不動産業界などの就職先、転職先で活躍できる人材として重宝されるでしょう。
関連部署がある企業でも活躍できることが見込めるため、有利であることは間違いありません。
3.収入UP
上記のように専門業務をひとりで遂行できるため、就職先や転職先での高収入待遇も十分あり得ます。
また、企業によっては、資格手当がつくこともあります。
4.独立開業できる
独占業務がある建築士と宅建士の2つを取得することで、独立開業しやすくなります。業務範囲の拡大だけでなく、クライアントからの信頼度も高まります。
設計から契約手続きまでオールインワンのサポートができることは、独立開業において大きなメリットです。
宅建士と建築士の違い
ここでは、宅建士と建築士のの違いを見ていきましょう。建物の設計から建設までが建築士、建物や不動産の法的サポートをすることまでが宅建士の仕事です。
1.仕事内容
建築士 | 宅建士 | |
---|---|---|
独占業務 (資格保持者にしかできない業務) |
一級建築士 ・すべての建築物についての設計・工事監理 二級建築士 ・規模が限られる建築物についての設計・工事監理 |
・取引物件の重要事項の説明 ・重要事項書面への記名 ・37条書面(契約書)への記名 |
このように、建築士と宅建士では建設・不動産業の中でも活躍フィールドが異なります。
そのため、建築士と宅建士の両方を持っていると建物の設計から法律的な面を含めた販売までをトータルで担える人材になれるでしょう。
2.試験制度
次に試験制度を見ていきましょう。建築士が学科と製図の2段階の試験であるのに対し、宅建士は、1回のみの試験となります。
試験時間は、建築士はほぼ丸1日かかるのに対し、宅建士は、2時間です。出題形式は、建築士の学科試験と宅建士は、四肢(五肢)択一のマークシート形式で共通しています。
一級建築士 | 二級建築士 | 宅建士 | |
---|---|---|---|
試験日 | 学科:7月第4日曜日 製図:10月第2日曜日 |
学科:7月第1日曜日 製図:9月第2日曜日 |
10月第3日曜日 |
試験時間 | 学科:9:30~17:55 製図:11:00~17:30 |
学科:10:10~17:20 製図:11:00~16:00 |
13:00~15:00 |
受験資格 | あり 例)大学で指定科目を履修して卒業(実務経験2年以上)など |
あり 例)大学・短大・高等専門学校で指定科目を履修して卒業(実務経験不要)など |
なし |
出題形式 | 学科:四肢択一・マークシート方式 製図:当年度課題に基づく設計図面の 作成と計画概要の記載 |
学科:五肢択一・マークシート方式 製図:当年度課題に基づく設計図面の 作成と計画概要の記載 |
四肢択一・マークシート方式 |
受験者数 | 35,052人 | 22,694人 | 233,276人 |
3.難易度
では、難易度はどうでしょうか。令和5年の最終合格率と合格点は以下の通りです。
試験名 | 最終合格率 | 合格点(建築士は学科) |
---|---|---|
一級建築士 | 9.9%【学科:16.2% 製図:33.2%】 | 88点/125点(学科) |
二級建築士 | 22.3%【学科:35.0% 製図:49.9%】 | 60点/100点(学科) |
宅建士 | 17.2% | 36点/50点 |
最終合格率を比べると、一級建築士・宅建士・二級建築士の難易度順ですが、建築士は2つ試験があり、受験資格があります。宅建士は、誰でも受験が可能である点を考慮すると一概に宅建士よりも二級建築士の方が易しいとは言い切れません。
ただし、いずれも難易度の高い国家資格であり、試験対策はしっかりと準備する必要があります。
4.出題内容
最後に、各試験の出題内容を見ていきましょう。
近年の建築士の学科試験は、法規の得点が合否を分けています。建築士の法規は、建築基準法や建築士法等から出題されますが、建築基準法は建築確認や容積率など宅建士と学習項目が重なり、建築士法は宅建業法と仕組みが同じなので、容易に理解できます。合格のための学習法も、建築士は、宅建士と変わりません。特に宅建をお持ちの方には建築士は推奨度ナンバー1の資格といって過言ではありません。
一級建築士 | 二級建築士 | 宅建士 | |
---|---|---|---|
出題内容 | 計画 環境・設備 法規 構造 施工 設計製図 |
都市計画 建築法規 建築構造 建築施工 設計製図 |
民法等 宅建業法 法令上の制限 その他関連知識 |
結論
ダブルライセンス取得がおススメ!
これまで見てきたように、建築士と宅建士はとても相性が良い資格と言えます。TACでは、宅建士から建築士へのステップアップをお勧めしています。興味をお持ちになった方は、ぜひTACへご相談ください。
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宅建士、建築士、建築施工管理技士補の3つは、いずれも独占業務を持つ資格であり、資格取得に成功すれば、職場での昇進や待遇UPはもちろん、関連業界での職場選びも断然有利になります。
宅建士に建築士が加われば、設計から販売までを手がけることができるようになり、独立開業がみえますし、宅建士に建築施工管理技士補が加われば、建設業界はかなり深刻な人材不足なため、好待遇での引手あまたと言えるでしょう。
また、建築士と建築施工管理士補の2つの資格は、宅建士と学習内容の親和性が高く出題内容の重複もあるため、みなさんが次にチャレンジしやすい資格だということも今回ご提案する理由のひとつです。
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