中小企業診断士　過去問に挑戦！（2023年度 第2次試験 事例Ⅱより）

本試験で出題された問題を体験し、「どのような問題が出るのか」「どのような知識・スキルを求められているのか」試験問題を見ながらイメージを高めてみましょう！

解答内容の検討

3 C 分析とは、Customer（顧客）、Competitor（競合）、Company（自社）の観点から市場、自社分析を行い、戦略構築するフレームワークである。
①顧客（市場）分析
対象市場の市場規模・成長性、顧客のニーズ・購買決定プロセスなどを把握する。
②競合分析
競合企業の数や市場占有度、新規参入・市場退出の動向、特定競合企業のビジネスモデルの特徴・強み・弱みなどを分析する。
③自社分析
競合や市場を意識した自社の保有資源・特徴、強み・弱みを分析する。

①顧客

売り手とは、ある業界（の企業）に対し、製品を生産する部品や原材料を提供する供給業者である。たとえば、この供給業者の持つ部品などが特別に差別化されたもの（特許を取得しているなど）であったり、供給業者の数が少なかったりする場合は、その供給業者の持つ交渉力は業界にとって脅威となる。

第11段落 「そこでB社は、品揃えと提案力に自信のある野球用品をより専門的に取り扱っていくこととした。」 B社の取扱製品は、野球用品の他にもその他球技用品等があり幅広いが、第11段落にもあるとおり、野球用品を主軸に置いた事業展開に舵を切っている（また、本事例では第2問以降の問題はすべて野球用品に関するものになる）。第1問の環境分析を基に第2問以降で助言を行うため、「野球用品」に絞った市場分析を行うことの妥当性が高い。

第12段落 「古くから取引がある各少年野球チームは、B社の各種有名スポーツブランド用品の取り揃え、ユニフォーム加工技術や納品の確かさ、オリジナルバッグなどのオリジナル用品への対応力、子どもたちの体格や技術に応じた野球用品の提案力などについて高く評価しており、チームのメンバーや保護者には、引き続きB社からの購入を薦めてくれている。」

第13段落 「ユニフォームやオリジナル用品などは、各チームに一括納品できる。しかし、メンバーの保護者から、価格面でのメリットなどを理由に、大型スポーツ用品量販店で汎用品の個別購入を希望された場合、各チームの監督ともB社で購入することをなかなか強く言えなくなっている。」

第15段落 「また、女子の軟式野球が盛んになってはいるものの、まだまだ少ない女子の参加希望者を増やしていくことも課題である。どのチームも女子のメンバー獲得に苦しんでいる。」
野球用品を直接的に購入（購買意思決定及び支払い）するのは野球をする子どもの保護者である。そして、少年野球チームも市場に存在する顧客として認識できる。また、女子軟式野球チームもすでに存在していることが示されている。

②競合

競合には、自社に対する強みや特徴などを示したい。

第10段落
「また、数年前には自動車で15分ほどの場所に、大型駐車場を備えてチェーン展開をしている大型スポーツ用品量販店が出店した。その量販店では、かなり低価格で販売されているため、B社は価格面で太刀打ちができない。」
第13段落
「ユニフォームやオリジナル用品などは、各チームに一括納品できる。しかし、メンバーの保護者から、価格面でのメリットなどを理由に、大型スポーツ用品量販店で汎用品の個別購入を希望された場合、各チームの監督ともB社で購入することをなかなか強く言えなくなっている。」

野球用品市場での競合は、大型スポーツ用品量販店と認識できる。その特徴は、汎用品を低価格で販売していることである。B社は単純に汎用品単品の価格勝負では太刀打ちできないことが明白であり、B社は対策が必要であることが読み取れる。

③自社

自社には、競合に対する強み、弱み、どのような顧客を獲得しているかなどを示したい。

第4段落
「同時に子どもの数も増えてきたため、公立小中学校が新たに開校し、公立小中学校の体操服や運動靴を納品する業者として指定を受けた。この際、体操服に校章をプリントしたり、刺しゅうでネームを入れたりする加工技術を初代社長が身に付けて、この技術が2代目社長にも継承されている。」
第11段落
「そこでB社は、品揃えと提案力に自信のある野球用品をより専門的に取り扱っていくこととした。」
第12段落
「古くから取引がある各少年野球チームは、B社の各種有名スポーツブランド用品の取り揃え、ユニフォーム加工技術や納品の確かさ、オリジナルバッグなどのオリジナル用品への対応力、子どもたちの体格や技術に応じた野球用品の提案力などについて高く評価しており、チームのメンバーや保護者には、引き続きB社からの購入を薦めてくれている。」
第13段落
「ユニフォームやオリジナル用品などは、各チームに一括納品できる。」
第21段落
「第4に、インターネットの活用の見直しである。現在は店舗紹介のホームページを設けている程度である。今後、このホームページにどのような情報や機能を搭載すべきか、また、SNSやスマートフォンアプリの活用方法についても検討し、顧客との関係性強化を考えている。」


競合である大型量販店の「汎用品の価格の低さ」という特徴に対し、B社は、刺しゅうの加工技術力やオリジナル用品への対応力があるため、競合が出店した現在でもユニフォームやオリジナル用品を各チームに一括納品できており、強みということができる。 また、野球以外の競技の用品も幅広く取り扱っていると思われる大型量販店に対し、野球用品の専門的な品揃えと提案力はB社が優位な点であり、これは今後さらに活用していくべき強みといえる。
さらに、公立小中学校の指定業者であることも地域密着で長期にわたり地域で営業するB社の特徴であり、今後活用したい経営資源といえる。
一方、弱みとしてはインターネットの活用が考えられる。現在は店舗紹介のホームページを設けているだけであり、未整備であることはB社の弱点といえる。
補足として、「野球用品の提案力」は第2問に、「公立小中学校の指定業者であること」は第3問に強みとして活用する方向性の解答構成が可能であり、「インターネット活用」は第4問で強化する方向性である。

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