中小企業診断士 過去問に挑戦!(2022年度 第1次試験 企業経営理論より) 

二次試験過去問2018

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1.問題

「企業経営理論」第16問

動機づけ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア.期待理論では、職務成果と報酬とのつながりが明確な場合に報酬の魅力度が高まりやすいことを根拠として、人事評価制度の透明性が仕事に対する従業員のモチベーションを高めると考える。

イ.公平理論では、従業員間で報酬に関する不公平感が生まれないように公正に処遇することで、仕事の量と質を現状よりも高めるように従業員を動機づけられると考える。

ウ.動機づけ・衛生理論(二要因理論)では、職場の物理的な作業条件を改善することは、仕事に対する従業員の不満を解消するための方法として有効ではないと考える。

エ.D.C. マクレランドの欲求理論では、達成欲求の高い従業員は、成功確率が低く挑戦的な目標よりも、成功確率が中程度の目標の方により強く動機づけられると考える。

オ.D. マグレガーが「X 理論」と命名した一連の考え方では、人間は生来的に仕事が嫌いで責任回避の欲求を持つため、やりがいが強く感じられる仕事を与えて責任感を育てる必要があると考える。

2.解説・解答

選択肢の解説

交渉力に関する問題である。

ア ×:【期待理論】

報酬を動機づけの要因とし、以下の2つの積和が動機づけの強さを決定するとする理論である。
期待…報酬を獲得できる主観的確率
誘意性…その報酬のもつ魅力
選択肢を見ると、職務成果と報酬のつながりとは期待であり、これが明確なことは動機づけの要件となる。また、報酬の魅力度は誘意性であり、これが高まることも動機づけの要件であるが、期待と誘意性は別の要因である。つまり、職務成果と報酬のつながり(期待)が明確な場合に報酬の魅力度(誘意性)が高まりやすいという関係性ではない

イ ×:【公平理論】

個人の動機づけを、報酬を他人と比較する過程において生じる主観的な公平感や不公平感に焦点をあ ながら説明しようという理論である。
従業員は職務状況に投入するもの(インプット)とそこから得るもの(アウトプット)とを秤にかけて、それから自身のインプットとアウトプットの比率を他人のそれと比べてみるという。自分の比率が比較相手のそれと等しければ、公平であると感じ、そうでなけ れば不公平を感じる。不公平を感じた場合は、それを是正しようとする。
選択肢を見ると、公平理論で焦点を当てているのは、不公平であると認識した際の行動であり、不公平であると感じると緊張が生まれ、この緊張が動機づけの基礎となり、平等で公正と見なしたものに向けて努力することになる(動機づけが生じる)が、不公平感が生まれないように公正に処遇されているのであれば緊張が生じず、動機づけは生じないことになる

ウ ×:【動機づけ・衛生理論(二要因理論)】

欲求要因を衛生要因と動機づけ要因の2つに分類している。
(衛生要因-不満をもたらす要因)
賃金、作業条件、経営方針、上司や同僚、部下な どとの人間関係など、仕事そのものではなく、その 外にある。なければ不満だが、あったとしてもまった く満足するに至るということはない(欲求に限りがな い)。
(動機づけ要因-満足をもたらす要因)
達成感、承認、仕事そのもの、責任、昇進、成長など、働くという行為そのものの中にある。なくても不 満ということはないが、経験すると、よりいっそうの満足を得るような欲求である。
選択肢を見ると、職場の物理的な作業条件を改善することは衛生要因であり、仕事に対する従業員の 不満を解消するための方法として有効である。

エ ○:【マクレランドの欲求理論】

仕事意欲につながる欲求には以下の3つがあるとするものである。
①達成欲求
課題に対し成功の喜びを得るために努力したいという欲求。そして、高い達成動機を持つ人間観は、以下のようなものであると想定している。

  • 問題解決の責任を集団ではなく個人に帰属させる傾向がある。
  • 自らの能力や努力によってコントロールが及ばないような極端な偶然性に依存した状況では、失敗への恐れが成功への期待度を上回るため動機づけされない。
  • ただし適度なリスク、つまり成功への期待度が失敗への恐れを上回るようなリスク(成功確率を50%を基準とする)は負う。
  • 成果に対する貢献度の具体的なフィードバック(評価)を切望する。

②親和欲求
友好的かつ密接な人間関係を結びたいという欲求。

③権力欲求
他人に影響力を行使してコントロールしたいという欲求。 選択肢を見ると、成功確率が中程度の目標とは、 成功への期待度が失敗への恐れを上回るようなリス ク(成功確率を50%を基準とする)とほぼ同義であ り、正しい。

オ ×:【マグレガーのX理論・Y理論】

Y理論による人間観
(X理論における人間観)
・人間は生まれつき仕事が嫌いで、できることなら仕事をしたくないと思っている。
・人間は命令され、統制されないと、その能力を発揮しない。
・人間は命令されることを好み、責任を回避したがる。
(Y理論における人間観)
・人間は生まれつき仕事が嫌いというわけではない。
・人間は自分が進んで身を委ねた目標のためには、それを達成して獲得する報酬次第で、献身的に働く。
・人間は条件次第で自ら責任をとろうとする。
選択肢を見ると、「X理論」と命名した一連の考え方を前提にした場合には、人間は生来的に仕事が嫌いで責任回避の欲求を持つことは正しいが、高次の欲求を有していないため、やりがいが強く感じられる仕事を与えても責任感が育たないことになる。

解答

正解は・・・エ

( TACデータリサーチ*による正答率 42%)

* TACデータリサーチとは、TAC独自の本試験解答集計・分析サービスのことです。

正解できましたか?なかには初めて見る言葉もあったかもしれません。TACのカリキュラムでは、「基本テキスト」などの教材で一から基礎固めをしていきますので、初めて学習される方でもご安心ください。

3.解説動画

動画で解説します!
2022 年度 1次試験「企業経営理論」第16問 解説

正解はできましたか?
上記の解説文でもおわかりなったかもしれませんが、解説動画を視聴していただくと、さらに理解が深まると思います。TACのカリキュラムでも、「基本テキスト」などの教材で一から基礎固めしてきますので、初めて学習される方でもご安心ください。

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