電気工事施工管理技士は独学でも合格できる?

1級電気工事施工管理技士検定試験の第一次検定は、同じような問題が繰り返し、問題内容を変えて出題される傾向があります。したがって、過去問を繰り返し学習し、都度分からない部分をテキスト等で確認しインプット量を増やすことが合格への近道です。第二次検定も同様の傾向があります。

独学するには何が必要?

いざ自分で学習を始めようとしても何から始めていいのか分からないという方もいらっしゃると思います。
電気工事施工管理技士の学習にあたり何が必要でしょうか。

1.テキスト
2.過去問題集

まず、この2つは必須です。
テキストは市販書籍から予備校の教材まで様々ですが、細かすぎず、簡潔すぎないものを選びましょう。 細かすぎると必ず掲載はされているので安心感はありますが、どこまで覚えればいいのか分からなくなってしま い、効率的な勉強に向きません。逆に簡潔なものは量が少ないため1冊を読み切りやすく一通り終える満足感があ りますが、足りない知識や範囲がある可能性があり、少々不安が残ります。
よってオススメは、過去問の範囲に沿ってある程度網羅しており、字が細かすぎず、かつ分かりやすく書かれてい るものです。
なかなか市販の教材でも少ないかもしれませんが、自分に合ったものを選びましょう。

独学者の悩みは?

時間の確保と時間管理

独学するうえで一番の悩みは時間管理が難しい点です。
1次試験の平均学習期間は3~4か月と言われています。1日1時間取れたとしても85~110時間程度の勉強時間となります。電気工事施工管理技士は7分野ありますから等分しても1分野あたりにかけられる時間は12~16時 間程度です。意外と時間がないことが分かります。
実際には仕事と両立するわけですから1日に1時間もかけられない人も多いと思いますので、いかにスキマ時間 を見つけ自制心を持って学習していく必要があるかが分かります。

その他、分からない点を調べるのに時間がかかる、よい勉強法が見つからないまま試験を迎えてしまう、周りに質 問できる人がいない、などがあげられます。

実際の学習方法

では実際に独学で学習する際、どのような方法で勉強していくのがよいのでしょうか。
一般的な学習方法をご紹介していきます。

第一次検定の学習方法

1

分野ごとに過去問を解き、解説を理解する

一次検定は例年92問が出題され、60問に解答しなければなりません。各テーマの問題No.は各年度とも同じです。例えば、電気理論はNo.1~5、電気機器はNo.6~8、電力系統はNo.9~12となっています。よって、傾向を知るためにも過去問は、同じ分野(電気理論など)の問題No.を連続で解いていくと見えてくるものがあり、効果的です。
ただし、令和3年度からは応用能力問題が追加されたことにより、令和2年度以前の出題No.と違っている箇所があるので注意してください。

知識問題のほとんどが「不適当なものはどれか」という間違い探しです。文章中の間違い箇所が、過去に類似して出題されています。間違い箇所は、なぜ間違いか確認し、全ての選択肢の意味を暗記・理解しておく必要があります。その時に役立つのがテキストです。まれに過去問だけ解いて答えをある程度暗記していけばいいやと思っている方もいますが、同じ傾向であるだけで全く同じ問題が出るわけではありません。
応用が利かなくなりますので過去問の解きっぱなしだけはやめましょう。

2

過去問の学習は7年分を繰り返す

上述のように、第一次検定は、同じような問題が繰り返し、問題内容を変えて出題される傾向があるので、7年分の過去問を解くことで、その中から出題される可能性が高まります。

例えば、令和4年(2022年)と令和元年(2019年)の問題〔No. 10〕を見てみましょう。ほとんど同じ文章ですが、選択肢2と3では「小さい」「大きい」の違いで解答が異なります。

令和4年(2022年)
〔No. 10〕変電所の変圧器の中性点接地方式において,非接地方式と比較した直接接地方式の特徴に関する記述として,不適当なものはどれか。

 1. 1線地絡時の保護継電器の動作が確実である。
 2. 1線地絡時の電磁誘導障害が小さい
 3. 1線地絡時の健全相の電圧上昇が小さい
 4. 変圧器の巻線の絶縁を軽減することができる。
令和元年(2019年)
〔No. 10〕変電所の変圧器の中性点接地方式において,非接地方式と比較した直接接地方式の特徴に関する記述として,不適当なものはどれか。

 1. 1線地絡時の保護継電器の動作が確実である。
 2. 1線地絡時の誘導障害が大きい
 3. 1線地絡時の健全相の電圧上昇が大きい
 4. 変圧器の巻線の絶縁を軽減することができる。

もちろん、すべての問題がここまで類似しているわけではありませんが、過去問に当たっているかで差が出ますので、時間の許す限り、過去問は解くようにしましょう。
また、すべての問題を7年すると相当な時間が必要になるので、得意分野、苦手分野で分けて学習すると、時間的にも効率よく学習できます。
 ・得意分野は、1,2年前を除く5年分
 ・苦手分野は、7年分

3

すべてを学習する必要はありません

午前の部の問題が57問、午後の部の問題が35問、合計92問」が出題され、必要解答数は60問です。問題の2/3を解答すれば良く、1/3は捨てることができるのです。すなわち、苦手問題は、捨てる前提で飛ばして学習しても影響が少ないということです。ただし捨てる分だけ他の問題で確実に得点しなければならない可能性も高まりますので、試験の1か月前までは苦手分野でも少しずつ取り組み、直前で学習分野に濃淡をつけ追い込む際に時間をかけないという方向性がいいかと思います。

第二次検定の学習方法

第二次検定は、大問が5問出題されます。第一次検定と同様に繰り返し出題される傾向があります。令和3年(2021年)より、実地試験から第二次検定となったことで、出題内容の一部が変更になっています。

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問題1(施工経験記述)の学習方法

経験した工事に関して、工程管理、品質管理、安全管理(墜落災害・飛来落下災害、感電災害)の3つのテーマについて、事前に、それぞれ管理する上での留意事項とその理由、対策を自身の体験記述として、原稿を作成します。その原稿を、そのまま本番の試験で書けるように、記述の練習しておきましょう。

2

問題2(施工管理)の学習方法

過去出題された「労働災害」及び「品質確保」テーマの語句を理解・暗記します。

3

問題3(電気工事用語記述)の学習方法

1~2年前の出題以外、特に3年~4前に過去出題された用語を中心に、用語を理解・暗記します。

4

問題4(計算問題)の学習方法

出題内容の変更により過去問題が少ないので、第一次検定の配電線路に関する計算問題を復習します。

5

問題5(建設業法と電気事業法)の学習方法

過去問題を解き出題パターンを把握して、第一次検定の建設業法、電気事業法について復習します。

二次検定は一次のように少し過去問で練習するだけでは合格点は取れません。
実務についての内容も含まれますし、語句の理解、暗記も限界があります。ましてや記述ですので、文章として試験委員が読みやすい文章になっているかはまた別の話です。
もし独学をするならば、近くに文章を見てくれる人のいる環境に身をおくようにしましょう。

結局、独学で合格できるのか?

1級電気工事施工管理技士は、過去問を繰り返し学習し、周辺知識を増やしていくことで合格できる試験です。しかし、ここまで見てきたように、教材探しから始まり、仕事も忙しく学習時間の確保やモチベーションを維持するのも大変です。通信講座などをうまく活用することで、時間も短縮でき、2次検定の添削なども行っているケースが多いため、効率よく学習できるのでおすすめです。
特に、2次検定の施工経験記述問題は、実務経験が少ないと的外れなことを書いてしまう可能性もあります。必ず他の人に添削をしてもらうようにするか、もし出来ない場合はそのようなサービスを利用し、1回で合格できるように工夫しましょう。

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