実務家インタビュー
海外の運用会社との交渉にCFAを活用。
より良い投信商品をお客さまに届けたい。
渥美 博行氏
オリックス銀行株式会社(取材時)
CFA®協会認定証券アナリスト
大学卒業後、大阪ガス入社。東芝、日興アセットマネジメントを経て、三菱UFJ投信(現・三菱UFJ国際投信)入社。
運用部門でファンドマネージャーを経験。2017年5月、オリックス銀行入社。
-これまでのキャリアと、現在の仕事内容についてお聞かせください。
新卒で就職したのは公益事業会社で、営業を担当していましたが、しばらくして法務の分野に興味を持ち、東芝に転職して法務を2年半担当しました。その後、日興アセットマネジメントで法務コンプライアンス業務を2年半経験した後、三菱UFJ投信に転職し、約11年間、当初は法務コンプライアンス業務に従事し、その後、運用部門に異動になり、外国株式の運用や投資ガイドラインの策定などの業務を経験し、2017年5月、オリックス銀行に転職しました。今回、満を持して成長著しい国内投資信託事業を立ち上げるにあたり、新設されたのがアセットマネジメント部です。その中で私が所属するチームは、私募・公募を含めた投資信託商品の調査・分析、国内外の運用会社との折衝・管理、投資信託の販売支援などに携わっています。現在、オランダの資産運用会社ロベコグループが提供する3つのファンド商品を販売しており、この商品は中長期でのお客さまの資産形成に貢献することを目的として、販売手数料無料のノーロード投信であることが特徴です。
-CFA®資格を取得しようと思われた動機・経緯を教えてください。
投信会社で外国株式のファンドマネージャーを務めていた頃、日本の証券アナリスト資格は取得していて、当然、CFA®資格の存在も知っていましたが、時間的に勉強する余裕がありませんでした。その後、運用企画部門に異動し、時間に余裕ができたこと、また、同部門の若手社員たちがファンドマネージャーを目指してCFA®資格の勉強をしていると聞き、自分も負けていられないという思いからチャレンジすることを決心しました。
-CFA®資格取得によるメリットについて教えてください。また、実際の業務に役立ったエピソードがあれば教えてください。
日本の証券アナリスト試験は公式を覚えるなどロジカルなイメージでしたが、CFA®はホットな話題も取り上げられていて、より実務的な内容で幅広い領域がカバーされていました。現在の業務で交渉している運用会社はオランダのロべコなので、当然、商品資料は英語ですし、メールなどによる連絡・折衝も英語で行います。また、ロべコの特徴として学術研究を生かしたファンドも多く、かなり専門的な内容になるため、英語によりCFA®試験で得た知識は多いに役立っています。
-御社において、チャーターホルダー(CFA®取得者)はどんな位置づけですか?また、今後CFA®資格を活用できる場は拡大していくでしょうか。
当社は国内投資信託事業だけでなく、お客さまと接する機会が多い業種ですので、CFA®資格に限らず社員の資格取得は奨励されています。因みに、CFA取得者には報奨金も出ます。CFA®資格は従来、運用会社にお勤めの方が取得するケースが多かったと思いますが、米国では富裕層向けのウエルスマネジメントに携わるプライベートバンカーなどが取得していて、イベントなども開催されています。今後、日本でもその分野の取得者が増えてくると思っています。また、私と同じ年度に合格した人たちと名刺交換をしましたが、事業会社の財務部門や商社、出版社などさまざまな業種の方が目立ちました。それもCFA®資格の可能性がより広がっていることの証ではないでしょうか。
-今後、どのようにCFA®資格を生かして行くか抱負をお聞かせください。また、これからCFA®資格の取得を目指す方へメッセージをお願いいたします。
CFA®協会のセミナーなどを通じて、現在、投資分野で話題になっている内容を学び、知識の向上を継続的に図っていきたいと考えています。そして、当社の投資事業部門は立ち上げたばかりでまだまだこれからですので、お客さまにより良い商品をお届けできるように尽力していきたいと思っています。CFA®資格はそのための心強い武器になってくれるはずです。CFA®取得者は協会のセミナーやイベントを通してネットワークを築くことができます。知識が増えて、人脈が広がる。とても魅力的な資格ですので、ぜひチャレンジしてください。私も取得できたことで大きな自信につながりました。