社会保険保険労務士の試験制度をズバリ解説! 試験内容を理解して合格を目指そう

試験の形式や受験の手続きについてチェック!

社会保険労務士試験は毎年8月下旬に実施される試験です。他の国家資格の試験と比べても、「受験日が1日のみ」「解答は全てマークシート形式」というように一見するとシンプルです。
ただし、試験の科目や出題の形式等、確認すべきところは多々あります。ここでは試験実施日から受験申込、出題試験科目等についてみていきましょう!

社労士試験はいつごろ、どんな形式で行われる?

社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格することが必要です。ここでは、社会保険労務士の概要や試験実施日、試験形式を解説します。

そもそも社会保険労務士(社労士)とは

社会保険労務士は、企業の人事労務管理を支援する専門職です。申請書の作成や提出代行、個別労働関係紛争の解決手続き、労務管理や労働保険・社会保険に関する相談など幅広くおこないます。

社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格したうえで一定の実務経験を経ることが必要です。また社会保険労務士名簿に登録しなければいけません。

試験は8月に実施!

社会保険労務士の試験実施は8月下旬であり、合格発表の10月まで1か月以上の期間があるのが特徴です。

また、他の国家試験のように科目ごとに別の試験日が設けられていたり、『1次試験⇒2次試験』というように試験日が複数あったりするということもありません。8月下旬の一日のみですべてが完結する試験です。

試験形式は「選択式」と「択一式」

試験は「選択式」「択一式」の2種類に分かれています。「選択式」「択一式」それぞれに合格基準点が毎年設定され、双方の合格基準点を満たすことが合格の要件です。

例えば、「択一式」で合格基準点を突破していても、「選択式」の得点が合格基準点に達していない場合は、不合格です。

【ここがポイント】解答はすべてマークシート記入

いわゆる論述形式の試験のように、文章・論文を記述する試験形式でなく、解答は全てマークシート記入式で行われます。マークシート記入式は難しいキーワードや漢字を覚えていなくても、問題が解ける可能性があるメリットを有する一方、細かい論点を扱う問題も多く出題されるため、油断はできない試験形式だといえます。

【ここがポイント】選択式・択一式ともに合格基準点を満たすことが必要

他の国家試験の場合、合格基準点に達している試験種や科目の受験を、翌年以降免除する制度があるケースがあります。しかし、社会保険労務士試験は選択式・択一式ともに合格基準点を満たさないと不合格です。

どちらか片方が合格基準に達していても、もう一方が合格基準に達せずに不合格となれば、翌年以降に再受験する時は再度選択式と択一式の両方を受験しなければなりません。

【ここがポイント】1日間で行われる試験である

社会保険労務士試験は1日ですべて行われます。選択式の試験時間80分、択一式の試験時間210分の非常に長丁場の試験のため、試験当日の体調管理にも十分に留意する必要があります。

社労士試験の受験資格や手続きについて

社会保険労務士試験 申込ガイド

受験資格
(主なもの)
● 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学、若しくは高等専門学校(5年制)を卒業した者又は専門職大学の前期課程を修了し た者(専攻の学部学科は問わない)。
● 上記の大学(短期大学を除く)において学士の学位を得るのに必要な一般教養科目の学習を終わった者。
上記の大学(短期大学を除く)において62単位以上を修得した者(卒業認定単位以外の単位を除く(卒業認定単位は大学へご照会ください)。)
●行政書士となる資格を有する者。

※上記の受験資格は主なものです。受験資格の照会は全国社会保険労務士会連合会 試験センターまでお問い合わせください。
願書配布 例年 4月中旬より
願書受付 例年 4月中旬~5月末日
※申込方法は、郵送でのお申込みおよび、インターネットでのお申込みの2種類があります。なお、インターネットでお申込みの場合は「マイページ」の登録が必要です。詳細は社会保険労務士試験オフィシャルサイト インターネット申込みをご参照ください。
受験手数料 15,000円(※別途、払込手数料)

提出書類等

  1. 社会保険労務士試験受験申込書(※郵送での受験申込のみ
  2. 写真(※郵送での受験申込の場合は受験申込書の所定の欄に貼付してください
  3. 払込受領証又は振替払込受付証明書(※郵送での受験申込のみ
  4. 受験資格を証明する書類
  5. 試験科目の免除資格を証明する書類(該当者のみ)
  6. 特別措置に関する書類(該当者のみ)

【ここがポイント】受験資格証明書類のご用意はお早めに!

受験資格を証明する書類(大学の卒業証明書・成績証明書・過去の社会保険労務士試験の受験票 等)はお早めにご用意ください。証明書類の発行手続きに思わぬ時間がかかり、受験申込が遅れてしまうことがあるためです。

【ここがポイント】迅速な受験申込みを!

受験申込書の記入、受験申込書に貼付する写真の撮影、受験資格証明書類の手配等、受験の申込みには思った以上の時間がかかります。受験申込みが遅れると、希望の試験会場で受験ができなくなる可能性もあります。受験申込前の時点で用意できる書類は一通り揃えて、迅速な受験申込みができるようにしましょう。

試験の日程や試験地について

社会保険労務士試験 日程・試験地ガイド

令和6年度の試験実施日は8月25日(日)、合格発表日は10月2日(水)です。

社会保険労務士試験は例年8月下旬の日曜日に、全国の19都市で実施されます。令和6年度試験の受験申込み受付期間は4月15日(月)~5月31日(金)です。

試験実施日 令和6年8月25日(日)
※例年 8月下旬の日曜日(1日間)
試験地 ①北海道 ②宮城県 ③群馬県 ④埼玉県 ⑤千葉県 ⑥東京都 ⑦神奈川県 ⑧石川県 ⑨静岡県 ⑩愛知県 ⑪京都府 ⑫大阪府 ⑬兵庫県 ⑭岡山県 ⑮広島県 ⑯香川県 ⑰福岡県 ⑱熊本県 ⑲沖縄県
※受験者の居住地区に関係なく、試験地は自由に選択できます。
合格発表 合格者の受験番号は、令和6年10月2日(水)に厚生労働省のホームページ及び社会保険労務士試験オフィシャルサイトにおいて公表するほか、10月15日(火)以降、合格者本人に合格証書を送付されます。
ご注意点

受験申込みは「インターネット申込」または「郵送申込」にて4月15日(月)より開始です。詳細は社会保険労務士試験オフィシャルサイトをご確認ください。

受験申込は必ずご自身でお手続きください。

TACでの本試験受験案内の配布はございません。本試験受験案内をご希望の方は「全国社会保険労務士会連合会試験センター」へご自身にて直接ご請求ください。

【ここがポイント】本試験までの日程を逆算してスケジュールを組みましょう

社会保険労務士試験はほぼ例年同じ日程で実施されています。そのため学習のスケジュールは立てやすいといえるでしょう。試験対策を始める前に、まずは試験日までに何日・何時間を学習時間に充てられるか逆算して予定を立てることが大切です。仕事や学業と両立して目指される方はなおのこと、目標を明確にして学習を開始しましょう。

社労士試験の出題試験科目や配点について

社会保険労務士試験 選択式試験ガイド

  • 試験時間

    10:30~11:50(80分)

  • 出題形式詳細

    5つの空欄があり、各空欄につき選択肢(20個又は4個)の中から正解と思われる番号を選択

  • 配点

    各問5点(各空欄1点)とし、1科目5点満点、合計40点満点

科目名 選択式試験 出題範囲
労働基準法 「労働安全衛生法」との混合問題として5問中3問(3つの空欄)が出題され、配点は3点
労働安全衛生法 「労働基準法」との混合問題として5問中2問(2つの空欄)が出題され、配点は2点
労働者災害補償保険法 5問(5つの空欄)が出題され、配点は5点
雇用保険法 5問(5つの空欄)が出題され、配点は5点
労働保険の保険料の徴収等に関する法律 出題なし
労務管理その他の労働に関する一般常識 5問(5つの空欄)が出題され、配点は5点
健康保険法 5問(5つの空欄)が出題され、配点は5点
厚生年金保険法 5問(5つの空欄)が出題され、配点は5点
国民年金法 5問(5つの空欄)が出題され、配点は5点
社会保険に関する一般常識 5問(5つの空欄)が出題され、配点は5点

選択式 試験問題サンプル

※令和3年度(第53回)社会保険労務士試験 選択式 「厚生年金保険法」より抜粋

【ここがポイント】まずは択一式試験の対策から

社会保険労務士試験で、「選択式試験の点数が合格基準に1点足らずに不合格になってしまう」という方が毎年いらっしゃいます。選択式に特化した対策を取るのももちろん有効ですが、基本的な問題を取りこぼさないためにも、まずは択一式試験の問題を多く解き、知識の定着を優先しましょう。

【ここがポイント】日本語の文章を正しく理解していることが必要

問題を見る通り5つの空欄に当てはまる語句を入れていく試験であるため、「この空欄には絶対にこの選択肢は入らない」というものが存在します。その際、問題文をよく読んで「主語はどれか?」「この文章の流れからみて当てはまるのにふさわしい選択肢はどれか?」などを意識して解くと、選択式問題を解く力が向上します。

【ここがポイント】グルーピングをする

問題を解く際に、選択肢ごとに各空欄に当てはまるであろう語句をグループ分け(グルーピング)をしておきましょう。解答をするときの各選択肢の比較検討がしやすくなり、問題に対して余裕を持って解けます。

社会保険労務士試験 択一式試験ガイド

  • 試験時間

    13:20~16:50(210分)

  • 出題形式詳細

    五肢択一式が計70問出題

  • 配点

    各問1点とし、1科目10点満点、合計70点満点

科目名 択一式試験 出題範囲
労働基準法 「労働安全衛生法」との混合問題として10問中7問が出題され、配点は7点
労働安全衛生法 「労働基準法」との混合問題として10問中3問が出題され、配点は3点
労働者災害補償保険法 「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」との混合問題として10問中7問が出題され、配点は7点
雇用保険法 「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」との混合問題として10問中7問が出題され、配点は7点
労働保険の保険料の徴収等に関する法律 「労働者災害補償保険法」「雇用保険法」との混合問題としてそれぞれ10問中3問、計6問が出題され、配点は6点
労務管理その他の労働に関する一般常識 「社会保険に関する一般常識」とのセットで10問中5問が出題され、配点は5点
健康保険法 10問が出題され、配点は10点
厚生年金保険法 10問が出題され、配点は10点
国民年金法 10問が出題され、配点は10点
社会保険に関する一般常識 「労務管理その他の労働に関する一般常識」とのセットで10問中5問が出題され、配点は5点

択一式 試験問題サンプル

※令和3年度(第53回)社会保険労務士試験 択一式 「労働基準法」問1より抜粋

【ここがポイント】試験時間210分の長丁場である

選択式の試験時間80分に対し、択一式は非常に試験時間が長いです。3時間半もの試験で集中力を切らさず問題を解くのは難しいため、直前期には全国模試等を利用して本番を想定した訓練をするようにしましょう。

その際に各問題を解くスピードや、問題の解く順番を自身の中で明確にし、自分に合った状態で本番に臨みましょう。

【ここがポイント】基本問題を確実に解けるようにする

毎年、択一式試験の問題構成としては『基本問題5~6割・応用問題3~4割・難問1割ほど』です。科目ごとの基準点があるとはいえ、総得点の7割を正答すれば合格できる試験であるため、一番出題ウェイトの大きい基本問題(多くの受験生が正答できるであろう問題)を取りこぼさないようにしなければなりません。難問の対策はする必要が無いといえます。

【ここがポイント】試験当日の体調管理を万全に

社会保険労務士試験は、夏の暑い時期の試験、かつ長い試験時間であることから体力勝負な一面もあります。試験当日に体調に不安を抱えないよう、試験日が近くなったら生活サイクルを見直し、万全の態勢で試験に参加できるようにしましょう。

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